成人式に行かない理由。成人式からあぶれた人たちについて。
こんにちは,ブログデザインを変えました,まんまる桜です。
今,私は専門学校2年生の担任をしています。高校卒業後,現役で入学してきた人たちは20歳。今日が成人式だったという学生も多いです。
成人おめでとう。
成人式の話題になると,考えてしまうことがあります。「成人式に行かない人」についてです。かく言う私も10数年前,成人式には行きませんでした。
個人的には,成人式に行っても行かなくても,どっちでもアリと思っているので,どちらかを肯定する気も否定する気もありません。テレビなどでは,成人式に出席した人しかもちろん映りません。10数年前,私はあの場にいなかったので,映らなかった人にどうしても共感してしまうところがあります。
- 1.いろいろな「20歳」
- 2.成人式に行かない理由
- 3.成人式に行かなかったことでつきまとう罪悪感
- 4.成人式に行かなかったことで保たれる自分
- 5.「一生に一度」ってものは意外にない。
- 6.とにかく20歳まで生きてこられたことを静かに祝おう。
1.いろいろな「20歳」
そもそも,20歳って結構酷な年齢だと思っています。
学生の人,浪人している人,働いている人,結婚している人,子育てしている人など。人生の中で,最も多様で,悩みが多くて,周りのことも気になる,大人なんだけどまだまだ未熟な,難しい年齢だと思います。
現在の成人式は,お祝いの会や同窓会という意味合いが強いので,「集団に馴染めない」,「お祝いの席に行きたくない」という人はどうしてもはじかれてしまいます。もう少し,通過儀礼的な意味合いを強くしてもいいのになと毎年思ってしまいます。
(学校関係者だから言うと,卒業式に関しても,格式高い雰囲気で行う学校と,お祝いムードでほんわか行う学校がありますが,私は,前者を好むタイプです。)
2.成人式に行かない理由
①忙しい。
例:浪人生だと,センター試験1週間前。社会人だと,次の日は普通に仕事。
②地元,集団に馴染めない。
例:地元にいい思い出がない。転勤族。地元の公立中学ではなく私立に行った。
③騒がしいのが苦手。着飾るのが苦手。
④お金がかかる。特に女子。
⑤「大人」の定義が他人とズレている。
例:社会人としてすでに働いていると,もうだいぶ前から「大人」なのに…と違和感がある。学生気分の同級生と合わない。
⑥現状の自分にコンプレックスがある。
例:元気な他人と自分を比較して,惨めな思いをしたくない。学歴コンプレックス,就職コンプレックス,太った姿を見られたくないなど。
幸いにも,「成人式に行った方がいいのでしょうか」という相談は受けたことはありませんが,こうして考えられる理由を列挙してみると,重いものは重いですね。
私が成人式に参加しなかった理由は,③⑤⑥でしょうか。
③着物を着たくなかった。20歳の私は自分の女性性を否定していたので。
⑤自分が「大人」になることを認めたくなかった。自分なりの「大人」の定義があった。
⑥当時は学歴コンプレックスがありました。
3.成人式に行かなかったことでつきまとう罪悪感
自分の意志を強くもって「行かない」と決断した人は大丈夫なのですが,
「行った方がいいんだろうけど,行きたくない」と葛藤の中で「行かない」ことを決断した人には,やはり苦しさがあります。
①親に対する申し訳なさ
親が成人式に行ってほしいと思っていた場合,子の「行きたくない」気持ちを理解するのは難しいだろうと思います。親は,子が成人を迎える際,感慨深く感じます。私は子どもはいませんけれども,それは多少理解できます。20年育て上げるのは絶対に大変ですから。「どんな着物(スーツ)を仕立てよう」と考えるのも楽しみでしょう。
私は,その親の楽しみ,労いの儀式を無にしたので,20代半ばまで恨み節を言われました。例えば,私が「〇〇したいのだけど」と希望を伝えると,母に「親の言うこと(成人式に行ってほしいという願い)は聞いてくれなかったのに」と言われる有り様でした。今でも申し訳ないと思います。
②普通のコースから外れる感覚
地域にもよりますが,成人式に行く人の方が多数を占めています。「普通」は一般的で安心できるものです。「普通に就職する」「普通に結婚する」など,日本語に多少違和感はありますが,不思議と通じますよね。「普通」から外れてしまうということは,リスクが伴い,覚悟が必要です。人によって,「普通であることが悩み」,逆に「普通でないことがコンプレックス」と,さまざまあるでしょうが,これは自分で選べるものではないような気がします。
4.成人式に行かなかったことで保たれる自分
3.のような葛藤がありつつも,それでも成人式に行かないのは,20歳という未熟な若者がどうにか自分を保とうとしているのだと私は考えています。
事情は人それぞれだと思いますが,自分を保つことを最優先していいと思います。「大人」になったわけですし,自分で決断していかねばなりません。
5.「一生に一度」ってものは意外にない。
よく「一生に一度」って言いますけど,どうなんでしょうね。そんなもの人生にありますか?
もちろん,20歳の自分は,その時にしかいないわけなのですが,もしかすると21歳の自分の方が素敵かもしれませんし,60歳の自分の方が素敵かもしれませんよ。
結婚式のウェディングドレスも「一生に一度」というキャッチフレーズが用いられますが・・・人生分かりませんから。
私は,大学の卒業式も着物を着ませんでしたし,結婚式も挙げるつもりがなかった(実際挙げなかった)ので,着飾ってお祝いする機会は人生ではないと思っていました。
でも,ある学校で卒業学年の担任をした時に,卒業式で袴を身につけました。それまで頑なに拒否していたものを,不思議とあっさり受け入れる自分がいました。教員が卒業生より目立つ格好することに賛否はありますが,この時は特にクレームはありませんでした。普段,化粧もほとんどしない私が着飾ることで,卒業生は「特別感」を感じ,それが自然に,お祝いと今後に向けてのエールになっていたように思うのですが・・・思い込みかもしれません,そう思いたいです。
ですから,「一生に一度」と言いますけど,たまたま機会が訪れたり,本人がやる気になったりして,将来,清算できることもあるかもしれないということです。
でも,本当に「一生に一度」「これを逃したら後悔する!」と明らかに思うものは,やっておきましょう。
6.とにかく20歳まで生きてこられたことを静かに祝おう。
とにかく,おめでとうございます。これからも体調に気をつけて楽しんでください。
以上です。最後までありがとうございました。(^^)